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【3354】ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.41「梟の城」(1999年) 事務局 田中忍
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 当委員会会長の田中忍が、ads.FMで三重県ゆかりの映画について話を
しています。コーナータイトルは「三重の映画に恋をして」、略して「みえこい」です。
第41回目は次のとおり10月25日(日)の放送です。本放送は、インターネット
でもお聴きいただくことができます。
 ads.FMホームページ http://www.catv-ads.jp/fm/
 ただし、私は電話出演のためインターネットでお聴きいただいた場合、声が聞き取れ
ません。ご了承ください。


放送日時:10月25日(日)午前11時20分から午前11時36分(予定)まで
放送局:コミュニティFM『ads.FM』
番組名:weekend mix
ナビゲーター:北山ヒロトさん
紹介映画:「梟の城」(篠田正浩監督、1999年)
            天正伊賀の乱で、伊賀の地を後にした伊賀忍者、重蔵と五平の
       10年後…。忍者の宿命が描かれます。
       三重県では、赤目四十八滝(名張)で撮影がされました。
なお、放送内容は、放送後にこのページに掲載します。
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投稿日 2020/10/18 (Sun) 11:44:50
更新日 2020/10/18 (Sun) 11:44:50
 

【3355】Re:ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.41「梟の城」(1999年) 事務局 田中忍
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放送内容

本作は、司馬遼太郎の原作で、中井貴一主演、上川隆也、鶴田真由、葉月里緒菜らが出演した時代劇です。司馬は、この「梟の城」で1960年に直木賞を、また「竜馬がゆく」「国盗り物語」により菊池寛賞を受賞するなど、多くの賞を受賞されている有名な作家です。篠田監督と司馬は長年の交友があり、篠田監督は、1964年、司馬の短編集「幕末」に収録されている「奇妙なり八郎」を原作に、「暗殺」という映画を監督しています。

これから「梟の城」をお話ししていきますが、映画公開時に出版された「一九九九年の梟の城」(扶桑社)という本が、大変、参考になりましたので、篠田監督の映画製作へのエピソードの紹介や、その本に書かれていたことをベースに私の話を膨らませていきます。まずは、司馬が新聞記者だったという事から、監督はこのようなことを言われています。「新聞記者は闇に潜み真実を求める。時には情報を得るために夜や早朝に取材対象先を訪問する。忍者の行動もそうである。」と例えられています。タイトルの「梟の城」は、フクロウが夜行性であることから、忍者の行動をフクロウに例えているのですね。ただし、新聞記者は事実を公に明らかにするのが仕事ですが、「梟の城」で描かれた伊賀忍者は情報を得ながらも公にはせず、特定の君主につくことを拒絶し、独立自尊を掲げていました。そして、織田信長は「権力の支配が届かない、この伊賀の集団を放置しておくと天下統一の妨げになる」と、天正9年、伊賀の乱を起こし、女性子どもに至る伊賀の人々を殺害し、街を焼き払いました。

本作ではこの戦いで生き延びた二人の忍者の運命を対照的に描きます。中井貴一演じる重蔵(じゅうぞう)と、上川隆也演じる五平(ごへい)です。実は、この映画を最初見たとき、天正伊賀の乱で家族を殺された重蔵は、常に誰かに狙われ、枕を高くして寝ることもできない孤独な忍者という印象があり、彼の心の動きを主として描こうとしている映画なのだなくらいしか、印象がありませんでした。で、この「一九九九年の梟の城」を読み、もう一度、映画を見たとき、改めていろいろと感じることがありました。まず、鶴田真由扮するくノ一・小萩は、マインドコントロールされ、誰かに操られているということがわかります。一方、重蔵は「自分は、忍者として育ってきた。時に応じていろいろな人間に化けてきて、おのれというものがわからない」と言います。このセリフ、サラッと中井貴一に言わせているのですが、最後まで映画を見ると大事なセリフに思えました。私なりに解釈すると、重蔵は、自我を捨て、自分に厳しくストイックな生き方をしてきたのだと思います。中井がセリフを非常に淡々と無感情に近いくらいに話されているのも、それを裏付けていると思います。だから、重蔵も誰かに操られてきたと言えるでしょう。小萩のように、マインドコントロールされているという描写がわかりやすいものではないのですが、命令によって人の命も奪うという重蔵の行動は、自我や思いやりを捨てて生きねばならない重蔵の宿命だと思います。ただ、この作品では、重蔵も小萩も、ちらりちらりと自我を出してきて、変化が見られます。なぜ、二人にその変化が見られるようになったかは、お互いに惹かれた、好きになったからだと思います。愛情が強くなればなるほど、人を思いますから、自我が出てマインドコントロールから解き放たれていくのではないかと、私は考えました。つまり、「梟の城」は重蔵と小萩のラブストーリーでもあるわけです。ラストの方で、小萩がマインドコントロールのせいか、たちくらみのような行動を見せるのですが、小萩を操っていた影の人物も立ち去るというシーンもありましたので、小萩も普通の女性にもどり、二人は幸せに生きるという風に思いました。

重蔵が語る「おのれがわからない」というセリフに関連してですが、豊臣秀吉を暗殺に行き、秀吉と話をしていると重蔵が何かに気づくというシーンも、当初は「あれっ?これはどういう意味だろう」と不思議に思いました。秀吉は重蔵にこのように語ります。「秀吉という役割を生きている、ワシというものは本当は誰なのじゃ」と。あの秀吉でさえも「おのれがわからない」と言うことに重蔵は共感したのでしょう。篠田監督はこのシーンについて、「権威や権力というものは偶像であって、それは時代の巨大な流れの中で作られた虚像である。しかし、忍者だけが、その実像を知っているということを司馬さんは描いている」と語られていて、結局、重蔵は秀吉を「哀れな年寄り」と感じたから、意外な行動をとったのだろうと思いました。

上川隆也演じた五平は、重蔵とは異なる運命的な生き方でした。伊賀の地を捨て、身分を変え、ある主君に従うのですが、結局は主君に裏切られ、火あぶりの刑にされてしまうという衝撃的な人生です。

ところで、私、最近、観光地に出歩いていないためか、この映画の中で映し出される日本各地の国宝級の建築物がいろいろ見られて、旅行気分になれました。この映画で醍醐味を感じたのは、重蔵や五平が戦う聚楽第や伏見城のシーンです。ひとつは、城壁を人知れず手先と足先だけで登っていくシーン。よくあるシーンなのですが、忍者として修業がされている成果だなと思いました。二つ目は、建築物が大きいと感じさせるからですが、広い屋根にたくさんの日本瓦がきっちり敷き詰められ、その配置がとても美しく見えました。その上を忍者が走ったり、滑ったりと、日本映画ならでのシーンだと見ていて楽しくなりました。もう少し言うと、仏像や屏風などの美術も見ごたえがありました。

三重県でのロケは名張市にある赤目四十八滝です。撮影当時のエピソードを、窓口になられた元・名張市観光課の職員さんにうかがうことができました。撮影は1998年11月の週末で、観光客が多い日だったのです。撮影スケジュールのため、撮影日がこの日しかなく、赤目四十八滝渓谷保勝会と名張市職員の方々が、観光客の誘導やスタッフの対応等、いわゆるフィルムコミッション的な活動を行いました。後でわかったのですが、約5000人の観光客だったとの事です。

映画では、撮影された不動滝が画面いっぱいに映し出されています。滝の傍にある石垣を忍者がよじ登っていくシーンです。実際は、滝だけを撮影し、その後、CG編集で、忍者が登るシーンを追加しているわけですが、やはり映画ならではの醍醐味というか、面白さを感じさせました。「梟の城」を見られた方が、赤目四十八滝に観光に出かけられたとき、忍者が滝を登っていくというシーンを思い出されるでしょう。また、不動滝以外にも、絵になる滝がたくさんありますので、これからも、赤目四十八滝で撮影がされるといいのにと思います。

ところで、篠田監督は、映画公開前に名張市に来られています。1999年7月、今のadsホールで「全国滝サミット」というのが開かれ、その講師として迎えられました。「梟の城」の公開が同じ年の10月末でしたので、このサミットでタイミングよく映画の予告編を流すことができました。さらに、一般公開前に、adsホールでの先行上映会も開かれました。2回上映だったのですが、あの大きなホールがどちらも満席になるという人気ぶりだったとのことです。名張市には、自然豊かな場所がたくさんありますし、歴史的建築物もあります。名張市での映画撮影がもっともっとあるといいのにと思っています。

(音楽:武満徹作曲「弦楽のためのレクイエム」)

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投稿日 2020/10/25 (Sun) 20:05:59
更新日 2020/10/25 (Sun) 20:05:59
 


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