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【3357】ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.42「あの手この手」(1952年) 事務局 田中忍
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 当委員会会長の田中忍が、ads.FMで三重県ゆかりの映画について話を
しています。コーナータイトルは「三重の映画に恋をして」、略して「みえこい」です。
第42回目は次のとおり11月29日(日)の放送です。本放送は、インターネット
でもお聴きいただくことができます。
 ads.FMホームページ http://www.catv-ads.jp/fm/
 ただし、私は電話出演のためインターネットでお聴きいただいた場合、声が聞き取れ
ません。ご了承ください。

放送日時:11月29日(日)午前11時20分から午前11時36分(予定)まで
放送局:コミュニティFM『ads.FM』
番組名:weekend mix
ナビゲーター:北山ヒロトさん
紹介映画:「あの手この手」(市川崑監督、1952年)
             志摩の実家を飛び出してきたアコちゃんが、奈良に住むおば夫婦の
       家で、実家に連れもどされないようにと、あの手この手を打つ
       お話です。アコちゃんを演じるのは久我美子。キュートな可愛さ
       が感じられます。

なお、放送内容は、放送後にこのページに掲載します。      
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投稿日 2020/11/23 (Mon) 8:42:04
更新日 2020/11/23 (Mon) 8:42:04
 

【3358】Re:ads.FM「三重の映画に恋をして」〜VOL.42「あの手この手」(1952年) 事務局 田中忍
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放送内容

日本における映画の歴史を振り返りますと、1950年代は、戦後の復興が進み、外国映画の輸入も加速しました。日本映画も多く製作され、毎週何本もの映画が封切られ、たくさんの人が映画館に押し寄せたという、いわば、映画の黄金時代になります。映画が娯楽だったという時代でもあるわけです。

市川崑監督は、1951年には監督した映画が6本公開され、1952年と翌年53年にはそれぞれ4本が公開されるという多忙ぶりです。「あの手この手」は夫婦を描いたコメディです。家族やカップルでの鑑賞をねらい、正月用映画として製作されたのだと思います。市川監督は、この映画でも感じられますが、当時、都会的センスを持った演出をする映画人として評価されました。1951年から53年にかけて、本作の他に、「結婚行進曲」(51)、「足にさわった女」(52)、「プーサン」(53)などに代表されるように、今見てもセンスを感じる作品を監督しています。近年では有名な石坂浩二が演じた金田一シリーズにもセンスのある演出が見られました。金田一シリーズは6作品あり、うち1979年に公開された「病院坂の首縊りの家」は伊賀市でもロケがされました。伊賀市上野車坂での撮影が多かったと、当時の撮影をご存じの伊賀市の方からお聞きしました。石坂浩二や草刈正雄が話ながら歩いているシーンが撮影され、伊賀市の多くの方々が撮影の様子を見物されたとのことです。他には、旧小田小学校が、捜査本部が置かれる警察署という設定になりました。

「あの手この手」は「アコの贈物」という原作を映画化しています。「アコの贈物」は戦後に放送されたラジオドラマです。日本は、テレビが普及する1960年ごろまでは、「鐘の鳴る丘」「君の名は」など、ラジオドラマの人気が高かったです。「君の名は」のラジオを聞きたいために、銭湯の女性風呂が空っぽになったという社会現象まで起きました。因みに、「君の名は」は映画化されていて、三重県でも撮影がされました。

さて、本作は、奈良県のあやめ池あたりにある住宅街が舞台になります。倦怠期のインテリ夫婦に、妻の姪にあたるアコちゃんという21歳の女性が飛び込んできて、あの手この手を使い、実家へ引き戻されないようにしようと、家中を引っ掻き回す奔放ぶりが描かれています。あの手の「あ」、この手の「こ」という二文字から「アコ」という名が付けられたのではないのかと言われたり、アコちゃんの奔放さを「きつねが馬に乗って走っている」と言った冗談交じりのセリフも映画に出てきます。でも、アコちゃんはキュートで純情さがすごく感じられるので、無鉄砲な行動をしても憎めない愛らしさが、映画から伝わってきます。

アコちゃんを演じた久我美子は、1950年作品の映画「また逢う日まで」で、窓ガラス越しのキスシーンが、当時、大きな話題になりました。日本映画は、1960年ごろまで、キスのクローズアップはタブーでしたので、窓ガラス越しにキスをするという方法で描かれました。本作で、この窓ガラス越しのキスシーンをパロディ化した部分があります。久我美子が外の様子をうかがう際に窓ガラスに顔をくっつけ、鼻がぺちゃんこになるシーンがあり、大笑いしました。

そして、この夫婦の主人が雨の中を家出し、バーに行くときの何気ない短いシーンが、私は好きです。道路を行き交う女性の脚のアップが映され、その後、主人の脚のアップが映されるだけのシーンなのですが、そのテンポと構図は、見ていて非常に気持ちがよく、市川監督がセンスのよいと言われる理由のひとつだなと思いました。

ところでこの夫婦の苗字は鳥羽です。奥さんの旧姓は、イセさんと聞こえます。それから、アコちゃんの実家は志摩にあるという設定で、これらの地名は三重県に関係しているのだと思うと嬉しくなりました。アコちゃんの実家に行くシーンでは、志摩地域が映ります。当時の志摩観光ホテルの外観がワンカットで映されます。それと、海も映りますが、カラー映画でなくモノクロなので、志摩の風景の美しさが少しわかりにくいなあと残念に思いました。

さて、本作ではアコちゃんの奔放ぶりが主として描かれますが、ポイントは夫婦の物語です。家庭生活にドンと腰を据えて描いています。主人を森雅之、奥さんを水戸光子が演じました。映画では、主人が一人で仕事をしている時、机の上に放り投げた足をアップで映し、映画を見ている人を「あらま」と笑わせてくれます。奥さんの方は、当時の社会を映し出すように人生相談や女性活動で忙しく、夫婦は同じ屋根のもとに暮らしているのですが、すれ違いが多いことを印象づけています。そして、アコちゃんが実家を飛び出してくるきっかけが、奥さんの人生相談によるものだったと意外な一面もあります。映画では、この夫婦になんやかんやとあるのですが、結局は、「夫婦互いに尊敬をしないといけません」というエンディングに収まり、全体にほんわかとしたムードが漂いました。奔放なアコちゃんが来て、この夫婦に、いろいろと考える機会を与え、夫婦が、また互いを見つめ、尊敬するようになったという物語でした。

ところで市川崑監督は、伊勢市の生まれで、三重県ゆかりの映画監督です。でも幼いころにお家の事情で大阪に引っ越されているので、伊勢市での思い出はあまりないと、監督インタビューに記されていました。昭和・平成の日本映画を支えてきた監督で、代表作に「炎上」「細雪」「古都」、そして金田一耕助シリーズなどがあり、前回の「東京オリンピック」公式記録映画も市川監督が出がけました。

音楽:『坂のある風景』(作曲:田辺信一、映画「病院坂の首縊りの家」から)

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投稿日 2020/11/29 (Sun) 11:57:01
更新日 2020/11/29 (Sun) 11:57:52
 


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